MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第30話

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 「シャロン…さん貴女はどうして僕の事を助けてくれたんですか?」

 「私の主の命です」

 「主…?その人は一体…?」

 「申し訳ありませんがそれ以上の事は私の口からは申せません」

そう言うと突然、彼女は閉じていた瞼を
何かに気付いた様にパッと開いた

 「…人が来るようです…私はこれで失礼します」

そう言って彼女は立ち上がった

 「あっ!待って下さい」

僕は言うべき事を伝えようと彼女を引き止めた

 「……何か?」

 「あの…助けてくれてありがとう」

僕がお礼言うと彼女は虚を突かれたような意外な顔した
もしかしたら僕がまだ詮索してくると思ってたのかもしれない
だがその意外な顔も一瞬で小さく微笑むと

 「わかりましたその旨、主に伝えておきます」

そう言い残し

・・・・タンッ・・・・!

大きく跳躍しこの場から姿を消した

 「えらく強かったけどあの女、何者なんだろうな?」

それまで黙っていたアッシュが傷を押さえつつそんな事を聞いてくる

 「さぁ…僕にも解りませんが…」

すると遠くから何人かの人の気配と声が聞こえてきた

 「あっ…ほんとに誰か来たみたいですね」

殺気を感じなかったのでおそらく敵ではないだろうと思っていると

 「あっもしかして君がフレイアって子か?」

白服で身を固めた男の人達の1人が僕達を見つけそう聞いてきた

 「そうですけど…ってもしかしてその格好からすると
  ホルスさんの…?」

 「はい我らはナイツオブクラッシュドーンの者です
  騎士団長の言われて貴女の保護に来ました」

 「保護って…(汗)…僕は迷子じゃないですよ…
  そもそもどっか行っちゃったのはホルスさんとおねーさなのに」

 「とりあえず団長に連絡を入れます」

そう言うと騎士の人は左腕の通信機を操作する

 「…?…連絡できるんですか?」

 「私たちは独自の回線があるんですよ通信文くらいなら
  この妨害電波の中でも連絡とり合えます」

 「へぇ…そうなんですか」

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・・・・・しばらくして・・・・・・

 「「フレイア!!」」

ホルスさんとシルヴィおねーさんが
もの凄いスピードで僕に走りよってきた

 「大丈夫か!?」「怪我は無い!?」

 「まったくフレイアを置いていくなんて…」
 「こんな危ない所に1人にして…」

 「どっかの馬鹿が暴走するからだ」「考えなしの阿呆の所為ね」

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 「誰が阿呆だ!?」「馬鹿とは何よ!?」

 「フレイアを一人にしたのはお前だろうが!!」

 「なによ元はと言えばアンタ原因でしょ!この赤ピー!!」


久し振りに見た二人の喧嘩に僕は複雑な顔をする

 (…二人共僕の事心配してくれたてのは解るけど…(汗))

周りを見渡すと騎士団の人達は驚きを
隠せないというか目を見開いて硬直してしまっている
多分ほとんどの団員の人たちホルスさんの
格好いいとこしか知らないんだろうなぁ…
アッシュはというと驚きもあるが喧嘩の凄さに
少し感心したような顔もしていた
ん…?ってあれ

 「アッシュ怪我そのままじゃないですかメイト無いんですか?
  レスタだって使えるんじゃ?」

 「あっこれはさ…その…」

アッシュは少し困った顔をして

 「今回の戦いでの俺の未熟さの戒めと言うか反省の為というか…
  なんかすぐに傷を治すと今の気持ち忘れてしまいそうでね…」

 「何言ってるんですか!悪化しちゃいますよ!?」

そう言って僕はアッシュの手を掴まえて引き寄せる

 「ちょっ…ちょっと!?」

アッシュは顔を赤くして焦ったような声を出す

 「僕もまだ高いレベルのレスタ使えませんから
  スターアトマイザーがいいですね」

僕は緑色のアイテムキューブを取り出し中身を使う

・・・・・ポワン・・・・・・!

スターアトマイザーの光が僕を中心に広がりアッシュの身体も包み
アッシュの怪我を塞いでくれる

 「…よし…一応病院にも行ってくださいね?」

 「あっ…ああ…ありがとうな」

アッシュは照れくさいような顔して頷いた
そしてしばらく俯いたまま沈黙していたが突然

 「……俺さ…」

 「え?」

 「さっきキミが言ってた言葉を守るハンターズになるよ」

顔を上げて僕にそう言ってきた

 「えっ?あの…ああは言いましたけど僕も
  偉そうな事いえる立場でもないし」

 「いや、あの言葉の通りなんだ…俺も解っていたはずなのに
  …俺の従兄がいつ迄たっても俺の事、半人前扱いでさ
  実際半人前なんだけどそう言われると
  見返してやりたくなってさ…それでいつも
  力量以上の無茶してしまうんだ…
  別にいきなり英雄みたいなモノになれるなんて思って無いし
  憧れはあっても誰かみたいになりたいって訳じゃないんだ
  俺は俺の力で出来る範囲でハンターズとして
  何かの役に立ちたいとそう思ってるんだ」

  「………」

僕は黙って彼の言葉を聞いていた

 「だから俺さいつか…キ…キミの背中
  守れるくらいになってみせるよ…」

緊張しているのかアッシュは顔を赤くして僕にそう言う

 「…うん…待ってるよ頑張って」

僕は彼のその言葉に対して微笑みそう答えると

・・・・ボン・・・・!

変な音(?)がしてアッシュの顔はさらに赤くなった
…僕なんか可笑しな事言ったかな…?

 「おい」「ちょっと」

いつのまにかアッシュの背後にホルスさんとおねーさんが立っていた

 「誰だお前」「誰よアンタ」

 「俺の前で」「あたしの前で」

 「「なにくどいてるんだ」」

二人はアッシュの肩をむんずと掴まえて鬼気迫る顔でそう言った

 「なっ…!?なんの話だよ!?」

アッシュはいまだ赤面したまま二人の手を払おうとする

・・・ガキッ・・・!

 「イテテテテテテッ!?」

だがその前にさらに強烈にアッシュの肩を握り締める

 「「交際をしたいなら」」

 「俺を」「あたしを」

 「「倒してからにしな」」

 「だから何の話だ!…ってアイタタタタタッ…!?」

 「?????」

二人の言動は僕にもさっぱり解らない会話だった
その時ふと若い団員さんの1人がぽつんと

 「…もしかしてこちらのお嬢さん御二人のお子さんですか…?」

 「「そんな訳あるかっ!!」」

・・・・ドガァァ!!


呟いた途端に二人のダブルドロップキックが団員さんに炸裂していた


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